“極地から未来を照らす” 第3回湧別町民大学

講演する原田講師
講演終了後のサイン会のようす

 令和8年10月8日(木曜日)、第50回湧別町民大学の3回目の講座が文化センターTOMで開催されました。
 今回は、観測隊として3度南極に赴き、女性で初めて観測隊長を務めた、東京大学大気海洋研究所国際・地域連携研究センター教授の原田尚美さんによる「極地から未来を照らす~科学・探究・そして人として生きること~」と題した講演が行われました。
 原田さんは、実は化学が苦手だったものの、高校時代に出会った有機化学の魅力から地球科学に興味を抱くようになりました。
 弘前大学時代の恩師が南極について楽しそうに語るのを聞き、南極に行ってみたいと思うようになり、南極観測の実績がある名古屋大学に進学しました。しかし学業についていけず、一度は南極への夢をあきらめて就職活動を始めます。卒業前、憧れだった赤道海域でのフィールドワークで目にした自然の美しさに感動し、再び南極の夢を追う決意を固めました。
 在学中に南極観測船「しらせ」の隊員募集に応募し、教授に直談判して観測隊に参加して以来、極地研究の第一線で活躍してきました。3度目の参加となる第66次南極地域観測隊では、女性初の隊長として観測隊を率いました。
 常に死と隣合わせの南極で隊長として心がけたことは、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)を取り除き多様性を高めることで、各自が効率的に活動できる環境を整えることでした。原田さんは、「日々の会話を大切に。関係を構築するにはそれしかありません」と語りました。
 南極は地球温暖化と密接に関係しており、このまま二酸化炭素などの温室効果ガスを抑制できなければ、地球全体の海面が数メートル単位で上昇することが予想されています。
 原田さんは「気候変動の問題は後回しにされがちですが、家庭での食品ロス削減に一人ひとりが取り組み、それが数億人規模で行われれば大きな効果が期待できます。地球温暖化への意識を高めてほしい」と呼びかけました。

 今年度は第50回の節目を記念して、湧別町民の受講料が無料となっています。
 第4回は10月16日(金曜日)に、千葉大学名誉教授の中川裕さんによる「アイヌ口承文芸の中の北見湧別」と題した講演が行われます。