新庁舎整備について町民の皆さまへ

 町長就任以来、町民の皆さまから新庁舎のあり方について、さまざまなご意見やご要望が寄せられております。この問題は、町の未来を左右する重要な課題であり、町民の皆さまの関心も高いことと存じます。そこで、私自身の新庁舎に対する考えを、改めて皆さまにお伝えさせていただきます。

 私は、今回の町長選挙に臨むにあたり、「庁舎建築の凍結」を公約の柱の一つとして掲げさせていただきました。そして、この公約をご理解いただき、多くの皆さまからご支持を賜り当選させていただいたことは、まさしく町民の皆さまの明確な民意であると、重く受け止めております。
 この民意を真摯に受け止め、これまで進められておりました新庁舎整備事業につきましては、設計会社へ令和7年12月22日付けで設計委託契約の解除通知をし、令和8年1月5日には1月31日をもって設計業務の契約解除する合意書を締結いたしました。これにより、中湧別小学校跡地での新庁舎建設計画は撤回され、合併推進債の申請も取り下げさせていただきました。

 私が新庁舎建設の凍結という判断に至りましたのは、今の湧別町が最優先で取り組むべきは、庁舎建設ではないと考えているからです。現在の本町が直面する喫緊の課題は、水道施設などのインフラ整備、人口減少対策、高齢者福祉・医療機関の充実、農林水産業の振興、商工業の振興、そして未来を担う子育て支援など、町民の皆さまの生活に直結した施策の推進であります。多額の費用を要する庁舎建設は、これらの施策を推進するための財源を圧迫し、将来の町財政に大きな負担となる可能性がございます。物価高騰が続く現状を鑑みましても、現在計画する庁舎を建設することは、将来に向けた財政危機を招きかねないと判断いたしました。
 確かに、行政機能の集約化は効率的であるという側面もございます。しかし、そのために今、多額の財源を投じることが本当に最善の策なのか、私には疑問が残るところであります。

 現行の庁舎につきましても、湧別庁舎は昭和53年建設で耐震化されていないなど課題もございますが、上湧別庁舎は築38年と比較的新しく、耐震化もされております。経年による劣化はあるものの、必要な改修を行えば、当面の間は十分に行政運営を継続できると考えております。
 当面は、現在の分庁舎方式を継続しつつ、上湧別庁舎への一部機能集約や、他の公共施設の統廃合も含めた中で、より効率的な行政体制を構築していく検討を進めてまいります。もちろん、将来的に庁舎の建て替えが必要となる時は必ず訪れます。そのときのために、基金の創設を進め、町の財政基盤を強化してまいります。そして、将来の人口規模や財政状況、職員数などを総合的に勘案したうえで、湧別町の「身の丈に合った」多目的な活用が可能な庁舎のあり方を、町民の皆さまと共に、じっくりと議論を重ねていくことが重要であると考えております。そのための道筋をつけることが、私の重要な責務であると認識しております。

 新庁舎建設を推進するお考えの町民の皆さまもいらっしゃることは承知しており、そのお声にも真摯に耳を傾けてまいりました。しかしながら、今回の町長選挙は、庁舎建設の是非を問う、いわば「住民投票」でもあったと認識しております。その結果として、私に課せられた使命は、選挙で示された民意に従い、計画を凍結することであります。

 現在、新庁舎建設の凍結解除を求める住民投票の実施に向けた活動が行われていることも承知しております。しかしながら、庁舎問題については、これまで約3年間にわたり、さまざまな場で議論が重ねられてまいりました。そして、住民投票の機会もこれまで存在したにもかかわらず、実現には至りませんでした。だからこそ、最終手段として、町長選挙において、町民の皆さまに直接、是非を判断していただくしかなかったのでございます。この選挙結果を差し置いて、改めて住民投票に委ねることは、政治家としての私の責務に照らし合わせると、現在の段階では難しいと判断せざるを得ません。何卒、この点についてもご理解賜りますようお願い申し上げます。

 湧別町の未来を築くためには、町民の皆さま一人ひとりの声に耳を傾け、地域の特色を活かしたまちづくりを進めることが不可欠でございます。私は、町民の皆さまが安心して、心豊かに暮らせる湧別町を目指し、これからも全力で取り組んでまいります。
 今後とも、町政運営へのご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

令和8年1月
湧別町長 加藤 政弘