“ヒグマはなぜ人里に出没するのか”湧別町民大学が最終回

ヒグマの生態を説明する坪田教授
講演中の様子

 令和7年11月21日(金曜日)、今年度最終回となる第5回湧別町民大学が文化センターTOMで開催されました。
 今回は、北海道大学大学院獣医学研究科の坪田敏男教授を講師に迎え、「ヒグマはなぜ人里に出没するのか」と題した講演が行われました。坪田教授は、野生動物、特に熊類の繁殖と生態に関する研究を専門としています。
 講演では、ヒグマの糞分析や、最新技術であるGPSやヒグマ目線のカメラを用いた研究結果をもとに、季節ごとのヒグマの食性や行動が紹介されました。特に、ヒグマは冬眠中に出産する生態を持つため、冬眠前の秋に必要な栄養を確保することが重要であると説明。今年は山ぶどうなどのフルーツ類やどんぐりなど、ヒグマの秋の主食が不作だったため、餌を求めて人里に降りて駆除される事例が増えていると分析。例年であれば秋になると出没件数が減少する傾向がありますが、今年は逆に増加しているそうです。
 また、里山の消滅によるヒグマの「人馴れ」が進んでいることや、個体数が増加している現状も取り上げられました。その上で、個体数管理よりも、専門家による加害個体の管理が重要であると強調しました。
 「餌が少ない場合は冬眠しないのか」という質問には、「エネルギー消費を抑えるため、逆に冬眠が早まる傾向がある」と回答するなど、町民からの質問が次々と寄せられ、ヒグマ問題への関心の高さが伺えました。
 本年度の生涯学習講座「湧別町民大学」は全5回開講され、すべての講座を修了した方は35人でした。来年度は第50回記念講座として、多彩な講師陣を招いて開講される予定です。多くの皆さんに受講いただけるようお待ちしています。