“サロマ湖周辺の2つの竪穴住居群”令和7年度遺跡調査報告会

町学芸員からの説明
熊木俊朗さんからの説明

 令和7年11月1日(土曜日)、ふるさと館JRYで遺跡調査報告会「サロマ湖周辺の2つの竪穴住居群」が開催されました。
 まず、町学芸員の林勇介さんにより、北海道指定史跡「シブノツナイ竪穴住居跡」の7年間の調査総括が発表されました。この史跡は、約1,000年前の擦文文化後期に集中して形成された日本最大規模の竪穴住居群で、その貴重性が改めて強調されました。竪穴住居群の多くは長期間にわたり形成されたものが一般的ですが、シブノツナイでは短期間に集中的に住居が作られたことが大きな特徴です。今後、関連遺跡のさらなる調査と情報発信が重要になるとの報告がありました。
 続いて、東京大学大学院人文社会系研究科の熊木俊朗教授から、大島遺跡群の発掘調査報告が行われました。この遺跡群は、北見市常呂町の標高の高い丘陵上に位置する、擦文文化に作られた中・小規模の竪穴住居群です。当初、遺物の出土は少ないと予測されていましたが、調査した6軒は全て焼失住居で、焼失時の儀礼跡や豊富な遺物が発見されました。中でも、海獣の骨やフォーク状の精巧な木製品が発見された話が挙がると、参加者から驚きの声が。
 同じ擦文文化の時代に作られた遺跡でも、異なる出土品や跡から予測される当時の人々の暮らしに思いを馳せながら、参加者は熱心に耳を傾けていました。