田渕隊員の「活動リポート」(3月29日更新)

令和5年度

3月29日 地域おこし協力隊を卒業します

 令和2年に湧別町地域おこし協力隊に着任して早3年6か月。この3月末に任期満了にともない隊員を卒業することになりました。

初日の出の写真
移住して最初の冬に撮影した初日の出。

 思い返せば3年半の任期中半分くらいはコロナ禍で世の中の先行きすら不透明な状況で、自分自身も当初のミッションから現在のジビエ事業継承へと目標変更していったりとかなり紆余曲折があったなぁと思います。そんな状況でもなんとかやってこれたのは町民の皆さまの温かいご支援、激励があったからだと思っております。改めて御礼申し上げます。
 また役場職員の皆さまにも多大なるサポート、特にミッション変更をしていく過程で様々なご調整をいただきありがとうございました。
 多くの方のおかげさまで無事卒業でき、湧別町で生活していくだけの基盤を固めることができたと思っております。

 正直に言いますと卒業の実感があまりありません。その理由というのもなんとなくわかっていて、その一つは湧別で生活していくことがもうあまりにも自然になってしまっているというのがあると思います。それから、これからやっていくことも固まっているのである程度今後のイメージがついているというのも大きいと思います。
 移住した当初は変化が大きかったですが、隊員の卒業というのはそういう意味で特別おおごとということではないのかもしれません。

紅葉の写真
割と気に入っている山の風景の写真。サロマ湖が遠くに見えるのも良いですよね。

 とはいえ、今後はジビエ事業も自分で安定的に経営していかなければならないですし新しいことにもチャレンジしていきたいですし、ただ淡々と日々生活していくつもりはありません。せっかく湧別町に生活の基盤を築くことができたのでここから地域に貢献しながら面白いことができたらいいなと考えています。
 また、町外の多くの方とも協力隊活動を通してかかわりを持つことができました。町内外の皆さまと連携しながら新しいことを生み出しつつ、湧別町を中心とした人の流れや交流(たびたびお話ししている「関係人口」ですね)を創出できればいいなと思っています。

 協力隊は卒業しますがこれからも普通に湧別町におりますので、ジビエのことに限らずお気軽にお声がけしていただければと思います。もちろん鹿肉のご用命があればご遠慮なく!

最近の自分の写真
最後に改めて、みなさまのご支援、ご指導、ご声援に感謝申し上げます。ありがとうございました!

3月15日 初心に返る(読書編)

 協力隊の活動を振り返るシリーズの最後は読書編です。今まで何回か読書感想文を掲載しておりましたが、最近はなかなか読む時間が限られており本を積むばかりになっております…
 今回はこの半年くらいの間に読んだ本からご紹介いたします。

本の表紙の写真
アン・ウーキョン著「思考の穴」※真ん中の黒い穴は装丁のデザインです

 個人事業主になり方針を最終的に自分が決定する局面が多くなったため、意思決定のヒントになるような本が読みたくて本書を手に取りました。
 サブタイトルに「わかっていても間違える全人類のための思考法」とあります。少々大袈裟ですが、本書は人間の考え方に現れる錯覚(バイアスと言います)について書かれた心理学に関する本です。人間が間違った選択をするのは、頭の良しあしや経験の多い少ない、ということ以外にも、実は万人が押しなべて間違えやすいこともたくさんあるそうです。なぜそんなことが起きるかというと、人間には原始時代(狩猟や木の実の採集で生きていた時代)に適した習性というのが残っており、そのような習性は現代の生活では逆に間違えのもとになっていることがある、ということだそうで多くの事例が実験やアンケートの結果に基づいて紹介されています。
 わたしが特に膝を打ったのは「エビデンス(根拠・証拠)より友達の話を信じてしまう」と「自分のものになった瞬間惜しくなる」の二つです。自分の所有しているものは愛着とか所有している時間に関係なく、手に入れるときより何倍も価値を感じる(失う、手放すのは惜しいと思う)と言われたら、確かにそんな気がするなぁと思いませんか? 気になった方は是非読んでみてください。

本の表紙の写真
服部文祥著「北海道犬旅サバイバル」

 猟犬を連れ狩猟で食べ物を現地調達しながら北海道を南北徒歩で縦断するというサバイバルに挑戦したという物語。
 私は高校生の時に山岳部だったので、食料を現地調達という不確実な手段に頼る登山という時点でとんでもないことだなと感じます。同時に同じハンターとして何十日も野宿で鉄砲を管理し続けるなんてとんでもねぇなとも思います。(著者の名誉のために補足しておくとそれ自体に違法性はないです)
 生きるか死ぬか、原始的な旅を夢見て挑戦する姿はロマンを感じる部分もありますが、逆に行く先で森林管理官と揉めたり里に下りて怪訝な目で見られたりといかに北海道とは言え今の日本で真の意味で原野を行く旅をするというのは無理なんだろうなと思うところもあります。(それだけ文明社会とあつれきが生じる行為なんだなと感じました)

 狩猟行為の描写もたくさんありますが、テレビなどで紹介される「きれいな」狩猟とは一線を画したもので、生き伸びるための絶対に必要な狩りは生々しさと少しアウトローな雰囲気も感じられます。
 また、本当の意味でのサバイバルにするために現金は持たないと決めたにも関わらず、ついつい里に下りた際に農家さんから廃棄の野菜を分けてもらったり(お金を使っているわけではないが趣旨に合っているのか著者自身も自問自答します)、ある種のルーズさ図太さも面白さの一つでしょう。
 北海道のスケール感を知っている皆さんであれば旅の行程も手に取るようにわかると思うので、冒険譚や自然体験の話が好きな方にはお勧めしたい一冊です。

本の表紙の写真
いいだなむ編著「ゲームさんぽ 専門家と歩くゲームの世界」

 昨年、湧別町でもe-sportに関する取り組みが始まりました。湧別高校でも部活動が公認され、かつてTVゲームに風当たりの強かった世代(ゲームは一日一時間!の時代ですね)のわたしとしては隔世の感があります。
 自分の子どもの頃より明らかにTVゲームに対しての逆風が弱まったのは、ゲームを通じて得た経験が悪いものではなかった、プラスに働いたという人たちが親世代になったことによるものだと思います。かくいう私も、小学生時代にファミコン(初代)全盛期を過ごし、ゲームを通じて自分の得意分野を知ったり歴史に興味を持ったりなど、少なからずいい影響があったと思うところがあります。
 本書はそんなTVゲームを専門家の先生とともにゲーム内で「さんぽ」しながら分析して回るというちょっと変わった対談集です。
 ゲームそのものを解説する本は数多ありますが、ゲーム内にある建物の構造や気象条件、法的妥当性などに言及する本はそうそうないでしょう。

 わたしは自然体験やサイクリングのような運動も好きですが読書のようなインドアのことも好きです(ゲームも昔はよくやっていましたが今は忙しいのでほとんどしてません)。それは特に矛盾のあることではなく、わたしにはどちらにも共通する面白さがあると思っています。この本にも山で荷物を運搬する職業(歩荷[ぼっか]と言います)の方が登場しますが、ゲームの中での自然描写にしきりと感心していました。実際の自然のフィールドで仕事をしている人でもゲームの描写をそのように感じるということは、人間の認識や主観というものの不思議さに感動せざるを得ません。
 ゲームに限りませんが何か現実ではないものを通じて人生について考えたり、感動したりということはよくあることです。要はどんなことでも学ぶ姿勢やより良くありたいという向上心があればそれでいいのではないかと思います。できれば一つのことだけでなく様々なことを知る方がいいとも思います。外で遊ぶのが一番良いことでゲームは駄目とか、逆にゲームをするのに忙しいから他のことはしないというのも、どっちもよくないように思います。そういう意味で、本書はゲームに批判的な人もゲーム好きの人にも読むと多様な世界が広がる入り口として良い対談集だと思いました。e-sportに取り組んでいる皆さんもぜひプレイの幅を広げるためにも読んでいただければと思います。


 今回を含め今までいくつかの本のご紹介をしてきました。協力隊の活動と関係ないんじゃないのと思う方もいるかもしれませんが、私がこういう記事を書いてきた理由は協力隊をやってきていろいろな知識や読書体験が活動の役に立ったり話のきっかけになったりしたからです。一人の人間が体験できることというのは、どんな長い年数であってもたかが知れています。読書を通じて何人分もの経験を得られる(実体験には及ばないかもしれませんが)ということはとても有益なことだと思います。
 湧別は図書館も二つあり、読書環境は充実している方の地域だと思いますので、ぜひ世の中のいろいろな世界について本を通して体験していただけたらなと思います。わたしも今後忙しくなっても本を読む時間くらいは確保できるようにしていきたいなと思っています。

2月28日 クロスカントリースキー大会

 去る2月25日に開催された湧別原野オホーツククロスカントリースキー大会のお手伝いに行ってまいりましたので、その時の模様をリポートしたいと思います。

スタート地点の設営の様子
快晴微風でサングラスなしでは作業ができないくらいの好天でした
旗立て作業の様子
このようにコースわきにどんどん旗を立てます

 前半は10kmコースのスタート地点の設営ということでコースの縁に旗を立てていく作業などを行いました。当日は晴天だったのでほぼ心配はないのですが、悪天候になると遠軽の方から来て合流してくる選手が間違える可能性があるのでこのような旗立てをします。

 また、スタートの際には運営委員会の黒川委員長が大きく旗を振って合図しますが正確な時間でスタートする必要があるのでそのキュー出しをわたしがするという大任を仰せつかりました。スマートフォンの時刻表示を片手にその時を待ちましたが、なんと公式の計測員の方が来てくださり精密に時刻を知らせる機械で合図してくださることになったため非常に安心しました。

スタート直後の様子
スタートの合図をしたら選手たちがすぐにやってくるので速やかに退避しなければいけません
目の前を通り抜ける選手の皆さん
颯爽と駆け抜ける選手の皆さん

 計測員の方によると持ってきてくださった機械はグリニッジ標準時を正確に表示できるとのことでかなり高精度な機械のようでした。スマートフォンは一日一回は自動で時刻修正するので日常生活にはほぼ問題ないくらいに正確ですが、クォーツ時計のような仕組みは入っていないので一日の間でどんどんズレていくということはあるようです。計測員の方もメーカーやキャリアによるが1秒くらいズレが出る場合もあるとおっしゃっていたのでスタートの合図はプロにお任せしたほうがいいのだろうと思いました。

 選手の皆さんがスタートしたらすぐに現場を撤収して、後半はTOMにて観光協会さんのお土産コーナーのお手伝いをしました。大会の感想や遠方から来られて毎回楽しみにしているといったお客様の声が聞けて、やはり非常に期待されている大会なのだなぁと実感しました。2024年大会(第38回)は雪不足のため一部コースでの競技は中止しての開催となりましたが多くの方に喜んでいただけて縮小開催でもよかったなぁと思いました。

とら豆プリンの画像
お土産コーナーで売れていたとら豆プリン。湧別産とら豆の優しい甘みがおいしい。

 4月からまたジビエの仕事の方が忙しくなってきますが年間で見ると繁閑のある仕事ではあるので、今後も事業の合間にできそうなご協力は積極的にやらせていただこうと思っています!

2月6日 雪下ろし

 年を明けてから雪が多くなってきましたが、皆様除雪作業本当にお疲れ様です。
 わたしも移住してから4回目の冬を迎え雪かき作業もだいぶ手馴れてまいりましたが、今回初めて屋根の上の雪下ろし作業をやりました。

雪下ろしの様子
屋根の上からの一面の銀世界は何度見ても壮大です。
雪下ろしの様子
白すぎて高低差がいまいちわかりにくいですが…

 オホーツク地域の場合、雪質や風の強さ、屋根の形状等であまり雪下ろしをする必要がない場合が多いのかなと思います。(風で全部飛んで行ってしまうため)なので私も今まで屋根の上の雪かきはしたことがなかったのですが、ジビエの工場の屋根が一部吹き溜まりになる場所があり、今回はそこの雪下ろしをしないと屋根が危ないかもしれないということで雪下ろしを実施しました。
 都市部で生活しているとまずそもそも屋根の上に上るという体験自体がほとんどないので何かとても危険な気がしましたが、ジビエの師匠である伊藤氏はこんなの何でもないと言わんばかりにひょいひょいと作業しておりました。

雪下ろしする伊藤氏の写真
雪下ろしする伊藤氏

 屋根の上は地面と違って踏ん張ったり素早く動くのは危険なため不慣れな私はかなり慎重に作業しましたが、そのおかげで普段使わない筋肉を酷使したり、余計な力が入ったりしていたので翌日は見事に筋肉痛になりました。
 大量の雪は全部下に落としたのでとりあえず一安心というところです。

つららの写真
屋根から落ちそうになっているつらら

 雪下ろしに限らず、除雪作業は危険も伴いますので皆さんも十分気をつけて作業していただければと思います。

12月26日 初心に返る(方言編)

 協力隊活動の振り返りを兼ねたシリーズ。今回は第二回の方言です。

 最初のころは、北海道の言葉にかなり苦戦していましたが今はすっかり慣れてきて、何なら「しばれる」「なげる」「いずい」くらいは口をついて出てくるようになりました。(いずいは本当に便利)
 元々、関西出身ですが関西弁もあっさり抜けてしまうようなタイプなのでこれからもどんどん北海道弁に染まっていくことでしょう。ですが、今回はそんな移住3年を超えた自分でも「?」のついた言葉をチョイスしていきます。

草が「おがる」

 わたしの活動しているジビエの工場は一次産業の盛んなエリアのど真ん中にあります。そして一次産業の皆さんにとっては畑作にしても酪農にしても「成長」が重要なワードになります。「おがる」は成長する、育つ、という意味なんですが、作物や牛以外にも雑草が伸びてきたりしてもおがるを使います。これは事務仕事をしていた時にはあまり聞いた覚えがなかったので、3年目にして急に頻度の増えた言葉です。
 「おが」のインパクトが強いので、おがくずが何か関係あるのか…。実際一次産業ではおがくずの利用が多いので、ずっとおがくずを撒くのかな?くらいに思っていましたが…。わからなかったらちゃんと聞かないといけませんね。

「ちょ」って何のちょ?

 わからないと言えば、正確に意味が取れなくてもなんとなくわかる言葉というものがありまして、英語のdoのような漠然とした理解をしていたものもあります。その一つが「ちょす」です。しかも、言葉の音が短いので「ちょす」なのか「ちょ」なのか「す」なのかはっきりとわからず、おざなりにしたまま月日が流れておりました。
 ある時、ジビエの師匠であるところの伊藤さんから「ちょす」の言葉が出てきたので意味を聞くと「ちょすってのは、さわるという意味だな」という答えでした。ですが、どうもこの言葉はもうちょっとニュアンスを含ませた言葉であるように感じられ、例えば「ちょっかいをかける」という使い方もあるように感じました。さらに言うと関西弁に「いっちょかみ」という言葉があり、これは「なんにでも一言物申す人」の意味ですが、これに近い言い方もあるように感じます。そして不思議なことにすべての言葉に「ちょ」が付くという…
 言語学的にも面白いかもしれませんがそこの追及は学者さんにお任せするとして、個人的には「ちょす」はまだまだ正確に使いこなせそうもない言葉なので、しばらくはdoのまま理解して自分では使わないようにしておこうと思っています。

すたれていく方言

 どこの地方でもそうですが、テレビやインターネットの普及により標準語が浸透しているので方言が廃れていく傾向にあると言われています。私は70代の師匠とよく話すので比較的昔の人が使う北海道弁を知る機会が多いですが、もしかしたら湧別でも若い人はほとんど使わない言葉ばかりなのかもしれません。
 しかし、だからと言って古い言葉を特に覚えなくてもいいということではなくて、私はその土地の風土や仕事にマッチしたニュアンスがそこにはあり、それを知ることがとても大事だと考えています。
 方言ではないですが、世界中で日本語にしかない言葉というのがあったりしますし(例えば「もったいない」ですね。北海道弁では「いたましい」というのも覚えました)、それはもしかしたら職人気質でなんでも修理して直して使い続けてしまう、日本の文化ならではの言葉なのかもしれません(ここは私の勝手な推測です)。そういうことを想像しているととても面白いなと思います。

ということで、ちょっと理解の深まった方言についてのお話でした。(写真がないと「あずましくない」ので無関係に貼っておきます)

ジビエ加工場から見える雪景色
ジビエ加工場からの風景は空も大地もシーズンによってどんどん変化していくので心が洗われます。

11月27日 初心に返る(野鳥編)

 最近はジビエ事業も忙しくなり、今私が取り組んでいることのご報告のような記事が多かったのですが、移住して3年が過ぎ来春には卒隊するという今このタイミング。改めて移住した当時の新鮮な気持ちを振り返ってみて、自分の心境がどう変化したか(変わっていないか)を知るためのヒント探しのようなことをシリーズでやってみたいと思います。第一回は野鳥編です。

スズメの写真
普通のスズメです

 元々野鳥観察が趣味だったので湧別に来た当初は本州とは違う野鳥の種類や豊富さに感動し、皆様にお伝えしておりました。そして、最初のころは林業のお手伝いをしていたので森や林を住みかにする野鳥をよく観察していた記憶があります。
 最近は、ジビエの作業場がある平地、農耕地と家を行き来することが多かったので、自然と農地や平野を好む野鳥をよく見ます。スズメは特に珍しくもない鳥ですが、作業場近辺でもよく見かけるので親しみのある鳥です。彼らは人間の作った建物の軒下に巣を作る習性になってしまったので、もはや人間と共存していくしかないと言われています。またその軒下も最近の家からはなくなり、都市部ではマンションなどのコンクリート造の建物が多くなったので、都市部でのスズメは減少傾向にあるともいわれています。そう思うと、ありふれた鳥であるスズメにもなんだか目を向けたくなってくるのです。

ヒシクイの写真
やっぱり渡り鳥の規模感がすごい(写真はヒシクイ)

 秋になると渡り鳥がやってきて、これももはや風物詩だなぁと当たり前のことと受け止めるようになってきましたが、それでも大挙してやってくる鳥たちの迫力に感動しますし、特に鳴き声にはある種の切なさというか哀愁のようなものがあってそれを聞いていると野生に呼ばれているような何とも言えない気持ちになります。
 農地は彼らも居心地が良いようでたくさんの鳥たちが飛来してきますが(よく見るのはマガン、ヒシクイ、オオハクチョウでしょうか)、仕事で毎日同じ道を通っていると同じ地区内でも集団が移動していることがわかります。それはおそらく農作業で土を起こした後であるとか堆肥をまいたとかそういう条件によって場所を変えているんだと思います。食べるものが獲りやすいとか居心地が良いとか条件の詳細はよくわからないですが鳥によって好みも異なっているようにも思います。
 一つ思うのは、単純に農業が盛んで渡り鳥の休憩地として適しているからたくさんやってくるというだけでなく、大昔の湧別原野がいわゆる扇状地でそもそも渡り鳥の休憩地として適しており、その記憶?があるからやってきているのではないかという気がしています。それがDNA的に刻まれているのか、先輩ドリに教わって語り継がれているからなのか、どういう仕組みなのかはわかりません。なのでただの推測ですが、なんとなくそういう風に思っています。

休んでいる白鳥の写真
白鳥にとっては羽を休める湿地帯なのかもしれません
飛んでいる白鳥の写真
人に慣れすぎて近くを飛んでくるときもありますが!

 まぁ農家さんからしたら「耕起したり尿散布したあとに鳥が来てるだけだよ?」って感じかもしれませんが、そこに渡り鳥たちが太古の広野、湿地を幻視してやってきていると思ったらなんだかロマンがあるような気がするのです。私もそういう風に見立てているだけなのかもしれませんが、ともかくそういうところで生活しているんだということに改めてわたしは湧別に来てよかったなぁとしみじみ感じるのです。

 写真には撮れていませんが春と秋にはタンチョウもよく見かけますし、ハヤブサのような小型の猛禽類と思しき野鳥も見かけました。農耕地の中に小さな林が点在しており、周辺には湖沼、河川も点在しているのでこういった環境を好む鳥たちにはかなり条件のいい土地なんだろうなと思います。
 なかなか時間が取れずじっくり観察する機会は減りましたが、これからも自然の営みを感じながら生活していきたいなと思います。

10月4日 鹿肉料理エトセトラ

 今年になってシカ肉(ジビエ)の事業を継承しましたが、「シカってどんな料理がおいしいの?」「ブロックのお肉を買ってそのあとどうやって作るの?」と本当によく聞かれるようになりました。そのくらいみなさんシカ肉に馴染みがない、ということだと思います。僕も三年前まではそうでした。
 ところが当の本人も調理については素人でして、食肉処理業の許可は持っていても調理師免許を持ってるわけではなく、これぞ鹿料理でございますというものはなかなか説明できなかったりします。
 とはいえ、みなさんもしゃちほこばった(かしこまった)メニューレシピが聞きたいわけでもなく、要はお手軽にさっと作れる鹿レシピが知りたいだけなんだろうなということも最近なんとなくわかってきました。(もし、本格的鹿料理に挑戦したい!という方がいましたら迷わずインターネットのお料理サイトをお勧めします。昨今のジビエブームで本当に色々な料理が紹介されています)
 そういうわけで今回は、私が普段作っているお手軽シカメニューをご紹介したいと思います。なにせ私が普段作っているものなので本当に簡単です。分量とかも適当ですが、適当でも大体それっぽく作れるくらい簡単な料理です。

すき焼き「風」シカ煮込み

すき焼き風シカ煮込みの写真
あくまですき焼き「風」なのがミソです

 すき焼きなんてずいぶん豪勢じゃないか!と思われる方もいるかもしれませんが、「風」であって本式のすき焼きではありません。フライパンの上に油をひいて、適当に切った鹿肉を焼きます。表裏と焼き目がついたところですき焼き向きのお野菜を盛ります。春菊や小松菜などの葉のものや、もやし、キノコ類がいいと思います。あとはしょうゆをひと回ししてふたをして弱火で煮込めばOKです。ちなみにしょうゆは昆布醤油がベストだと思います。僕は移住してからすっかり昆布醤油派になってしまいました。
 使うお肉はモモがいいと思います。柔らかすぎず硬すぎず。肉のうまみもしっかり味わえると思います。お給料日はロースで本当にすき焼き!というのもいいかもしれません。

鹿スープ

鹿スープの写真
多分、オール湧別産で作った鹿スープ

 これはアウトドアカフェイベントで、元協力隊の野田さんに教えてもらったスープをアレンジしてみたのですが思いのほか簡単にできたのでおすすめしたいです。
 スープといっても、味付けは塩だけであとは野菜と肉のうまみだけのシンプルスープですが、はっきり言って普段はこれで十分でないのという感じのおいしさです。使った野菜は、じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、にんにく。ブロッコリーやキノコをいれてもいいでしょうね。
 お肉はスネ肉を使用。少し硬めのお肉ですが、弱火で一時間も煮込めば程よいやわらかさに。腱の部分もぶつ切りにして一緒に煮込めばコラーゲンのトロッとした触感も楽しめます。鹿に限りませんがお肉はよく使う筋肉ほど硬くなり、同時にうまみも凝縮していますので、煮込んでそのうまさを引き出し同時に柔らかく食べやすくするのはとても理にかなった調理法です。煮込んでいる間は仕事も進められるので(火の注意は必要ですが!)、「タイパ」もいいレシピですよ。

シカザンギ

シカ肉ザンギの写真
低脂肪の鹿肉と揚げ物の相性は抜群!

 僕はお酒を飲む人なので、どうしても酒のアテを作りたくなってしまうのです。そういうわけで今回の趣旨からはちょっと外れますが、シカのザンギです。鶏肉ならともかく、脂っこすぎないかと心配な方もいらっしゃると思いますが、実はシカ肉も非常に低脂質で揚げ物にはマッチした食材です。高温で上げるとどうしてもお肉が固くなりがちですが、ヒレ肉を使うと元が柔らかいので、外はサクサク、中はジューシーの理想に近いところに持っていけると思います。
 「思います」というのは、やはり揚げ物は温度管理が難しいのでたびたび失敗しており、正直これが正解というのはまだわかりません。すみません、いい加減な紹介で。

ヒレ肉の写真
標準的なヒレ肉の大きさ

 牛と違ってシカのヒレ肉はとても小さいです。(写真のペットボトルキャップと比較してみてください)なので、どんなに頑張っても一口サイズ大のザンギにしかならないと思いますが、そういうものだと思って使ってみてください。鹿肉とは思えないくらい本当に柔らかいですよ。
 そして、こんなお肉がシカ一頭から左右1本ずつしか取れない希少な部位なんですね。使い勝手が悪いので販売しづらいところなんですが、やはり余すことなく使いたいなと思っています。

 以前は、料理のことは調理のプロに任せた方がいいのかも、餅は餅屋だ、と思っていました。しかし、ジビエ事業を継承して以来、やはりシカ肉の活用を啓蒙してこそ事業の意義が高まるという思いもわいてきました。調理の方はまだまだ素人ですが、今後もいろいろなレシピに挑戦して皆さんに教えられるようにしていきたいと思います。そしていつかは湧別を代表する商品を開発できたらいいなと思っています。
 皆さんも、ぜひシカ肉料理にチャレンジしてみてください!

8月17日 盆おどりあれこれ

 先日、地域の盆おどりに参加してきました。今回も自治会班長として準備から関わらせていただきました。前回記事でご紹介した馬頭祭、交流会と同様、またしてもカルチャーショックがありましたのでご紹介したいと思います。

お祭りのやぐらの写真
準備中のやぐら
やぐらの上からの風景
なかなか経験できないやぐらの上からのながめ

 盆おどりの準備に関わるのも初めてだったわけですが、地域の皆さんも4年ぶりの開催ということでやや探り探りの様子でした。とはいえ、何年もやってきたイベントなのでやぐらのセッティングや電飾の配線などほとんど午前中にも終わりそうな勢いでした。
 ところがやはりブランクが影響したのか、劣化している器具などがあり、急きょ別のものを用意したり配線をつなぎなおしてもらったりと意外に時間がかかり何のかんので15時ごろまでは準備に要しました。コロナ禍の影響がこんなところまでも!という気持ちがしました。

お祭りの太鼓の写真
セッティングした太鼓。かなり大きい。
昔のアンプの写真
年代物の音響機器。まだまだ使えます。

 今回、準備もそうなのですがおどりの審査委員もオファーをいただきまして、これが初めてのことでどうしたらいいのか非常に不安に思っておりました。
 そもそも、盆おどりの審査がある、というのが驚きでして、おそらく内地にはそういったことはあまりないのではないかと思っています。審査して景品まで出るというのはかなり地域的な特色なのではないかと思っています。

横断幕の写真
開基百年の際の横断幕
景品の写真
豪華景品の数々!

 そして、盆おどり自体が割と参加型というか住民主体でやるというのも私のおぼろげな記憶とかなり異なっています。遥かさかのぼること40年前の大阪では確か、着物姿のプロの踊り手さんがおどっていてあまり実際に参加する大人はいなかった記憶です。そして、子どもはたまにアラレちゃん音頭のような子ども向けアニメの曲が流れてそれをおどるというイメージです。メインは屋台のお菓子や射的でどちらかというとその遊びに行くイメージでした。
 他地域の友人にも聞いてみましたが、やはり何曲かかけてめいめいが自由に踊ったり休んだりするというのが主流のようです。歌謡曲で踊るという地域もあるそうです。
 皆さんご存じのとおり、湧別では子どもおどりと大人おどりの二部制で、おどりだけでなく仮装もあり、そしておどりの審査によって景品が贈呈されます。曲も同じ曲でひたすら踊り続けます。子どもの踊りはチャチャンガチャンのあの曲だけで、子どもおどりの部が終わるとおやつが全員に配られます。このシステムが結構衝撃的でした。
 そしてずっと同じ曲で踊り続けるのでかなり耐久戦的な様相に見えましたし、審査する私も新しく参加する人がいないか、常にチェックしていて結構大変でした。ですが、おそらく元来の盆おどりの文化から考えるとこのおどり続けるということ自体に意味があるはずで、むしろ伝統的な盆おどりに忠実なのではないかと、私のつたない知識では思ったところです。非常に興味深いなと感じました。

盆おどりの様子
おどる皆さん
仮装盆おどりの様子
おどる皆さん(ピカチュウ)

 そして芭露太鼓愛好会の皆さんのおはやしや、生歌による歌唱(非常に豪華だなと思いました)も大変すばらしかったです。ほとんど一時間、繰り返し途切れなく演奏、歌唱が続いていたのですさまじい体力、エネルギーだなと感服いたしました。クオリティもハイレベルでした。

お囃子演奏の様子
芭露太鼓愛好会の皆さん

 審査については、とにかく私自身がおどりのことをよくわかっていないので、元気よくやっているかと動きのなめらかさなどを基準に審査させていただきました。
 この審査結果に基づいて順位が決まり、結果発表してその場で景品のお渡しとなります。この景品も結構豪華で米10kgとか飲み物の箱セットとか高級果物とかすごいふるまいっぷりでした。
 わたしの協力隊活動でもあるジビエ事業からもエゾシカ焼肉セットをご提供させていただきましたが、喜んでいただけたかどうか。ぜひ感想などお寄せいただければ幸いです。

 20時半ごろに終了し、そこから片付けもほとんど当日のうちに済ませて解散となりました。怒涛の一日でしたが、地域の皆さんのお祭りにかける情熱がすごいなと改めて思った次第です。
 今回は東地区の盆おどりのご紹介でしたが、これから実施する地域もありますしそれぞれで特色があるかもしれませんので、ぜひ皆さんもそれぞれの地域の盆おどりに参加してみてはいかがでしょうか。

7月19日 地域のお祭りに参加しました

 先日、わたしの住む東地区にて馬頭祭と運動会、交流会が催されたので参加してまいりました。今回は単なる参加者というよりも自治会班長としてお手伝いさせていただきました。コロナ禍の影響で4年ぶりの開催となったため初参加だったのですが、いろいろ新たな発見がありました。

馬頭祭の式典の写真
馬頭祭の模様
交流会の案内の張り紙
交流会も同時開催

 まずそもそも馬頭祭というものが初めてで、これはかつて農耕で使役された牛馬を労ったり弔ったりする意味で馬頭観音を奉って行われていたとのことです。今ではほとんど機械化されているので本来の意味合いではないのですが、牛は乳牛、肉牛として身近な存在ですし、自分も鹿という動物から恩恵を授かっている者なので非常に神妙な気持ちで参加いたしました。
 特に興味がひかれたのは式の途中でほら貝を吹くくだりがあり、あまりほかの祭事では見られないように思ったので式の終了後に住職にお願いして写真を撮らせていただきました。

ほら貝の写真
式典で使われたほら貝

 貝殻はもちろん本物で石垣島産とのこと。大きさがすごい。この貝殻に吹き口を取り付けてあの悠久の時を感じる音色が響くわけです。

 式典が終わると、地域交流会ということで焼肉用のシカ肉をご提供させていただきつつ、ポップコーン製造を担当しました。皆さんこの機械を「ドン」というので、なんのこっちゃと思っていたのですが、本州でいうところの「ポン菓子」の製造機も北海道では「ドン」というらしいので、どうやらはじけるお菓子を作る機械は全部「ドン」ということみたいです。なぜ北海道だけ音が重厚になっているのかは謎です。
 そして、ドン、ことポップコーン製造機がまた加減の難しいシロモノで、一応説明書どおりに塩を振ったのですがどうも薄味で、かといって豪快に塩を入れると機械のふちに塩がたまるだけというなかなか熟練の技が必要なマシンでした… ちびっ子たちに喜んでもらえたかどうか…

ポップコーンと綿あめの製造機の写真
「ドン」と綿あめの製造機

 シカ肉の方は、自治会の皆様からリクエストをいただきご提供させていただきました。思ったよりやわらかかった、くさみもなくおいしいと好評だったので安心いたしました。なかなか皆さんシカ肉を食べる機会もないと思うので、こういうときに食べていただけるとうれしいなと思います。

焼肉の写真
焼肉の模様

 そして最後に、これも初めてのことでしたが餅まきというイベントがあり、本当に餅をまくのだなぁとびっくりしました。最初は餅まきという言い方だけで、本当は餅(ないし別のもの)を配るのだろうと思っていたのですが、事前の段取りの話など聞いているうちに、「あぁこれは本当に餅そのものをまくんだな」とわかり衝撃を受けました。

餅まきの様子
子ども達にはお菓子がふるまわれました

 なんで餅なのか、なんでまくのか、と疑問が残りましたが、皆さん楽しそうだったのでそういうことなんだろうと納得しました。
 ほかにも海水浴じゃないのにスイカ割りとか、綿あめをふわふわに作るのは結構むずかしいとか、いろいろカルチャーショックがあり濃厚な一日となりました。

 来月には東地区の盆踊りも控えているのでそちらの方の準備も進めながら、また新しい文化的発見を期待して待ちたいと思います。

 なお、お祭りやイベントでシカ肉を使いたいという方はご遠慮なく田渕までご連絡いただければと思います。屋台出店や調理済みのシカ肉の提供など、業務の都合や食品衛生許可のかねあいで難しい場合もありますが、ご相談に乗らせていただきます!なにとぞよろしくおねがいいたします。

6月12日 ツノや皮の利用について

 事業継承してから、シカ肉づくりに取り組む日々を過ごしておりますが、実はお肉ばかりでなくツノや皮の活用に向けても動き始めています。せっかくとった鹿なので余すことなく使わせていただきたい、という思いも前からあったのでゆくゆくはツノ製品や皮製品も手掛けたいと思っておりましら、ありがたいお話が舞い込んできたので二件ご紹介したいと思います。

鹿の角のキーホルダーの写真
鹿の角で製作していただいたキーホルダー

 一つ目は素敵なツノのキーホルダー。こちらを作っていただいたのは町内在住の菅野やえさん。趣味でこういった作品作りをされているそうで、ツノもぜひ使ってみたいということで何点か作成いただきました。鹿のツノはキーホルダーとして重すぎず軽すぎず、ちょうどいい感じだなと思いますし、チャームがついてるものなどアクセントも効いていて素敵な仕上がりになっていると思いました。
 元々のツノの色味を残したものも、逆に磨いて白くしたものもどちらもそれぞれの味わいがあっていいですよね。こういう一点もののアイテムというのは需要があるので、販売してみたいなと思っているところです!

 もう一つはシカの皮の活用です。札幌市にあるNPO法人ezorockさんと提携し、シカ皮の裏すき体験用に皮を提供させていただくことになりました。裏すきとは皮をなめす前に原皮をきれいにする前処理のことで、一般の方でも十分できる作業になります。裏すき作業後に業者さんに依頼してなめし、エゾシカレザーとなります。レザーはクラフト小物や皮ジャケットなどに活用されます。
 通常の生産工程とは異なり、シカによる被害対策として捕獲された個体の活用を進めることや、自然体験の一環としてボランティアの皆さんが作業するというところがポイントになります。若い人たちへの鳥獣被害対策についての啓蒙にもなりますし、商品を買ってくれるお客様にも意義のあることとしてアピールできますし、多くの利点や社会貢献性に私も賛同して参加させていただきました。

 そして、通常は札幌近郊で開催している裏すき体験が今年の夏には湧別町までいらっしゃってのツアーとなる見込みで、いわゆる関係人口の創出にもつながりそうな流れとなっています。
 ※関係人口:「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。(総務省HPより)

 また、体験プログラムの"EZO WOLF STORY"というネーミングもとても素晴らしいと思います。
 かつて北海道に生息していたエゾオオカミを人間が滅ぼしてしまった。彼らの捕食対象であったエゾシカが増加してしまったことの一因でもあり、それが今問題になっている。だから、人間が滅ぼしたオオカミになり替わり責任をもって増加した鹿に対する対策を行い、捕獲したシカは余すことなく活用したい、という考え方の反映で、とても自然でモチベーションの高まる考え方だなと感じました。
 事業継承前から、ただジビエの会社を引き継ぐだけでなく社会貢献につながるようなプロジェクトを進めたいと考えてきましたが、このように各方面の皆様のご協力やオファーにより実現が見えてきているところです。

 今後も新しい取り組みが出てきましたら逐次ご報告したいと思います!

4月28日 道具の手入れ

 新年度になり、役場の仕事を離れてジビエ(鹿肉)事業の継承の準備にまい進しています。
 そもそもどんな仕事をしているのか?と皆さん疑問に思われると思うのですが、そちらは広報5月号にて記事にしましたのでそちらをお待ちください。

包丁の写真
精肉用の特殊な包丁です

 唐突に刃物の話になりますが、先日ふと刃物をちゃんとメンテナンスできるようにならないと、と思い立ちました。自分は捕獲した鹿をジビエとして活用しようとか、鳥獣被害対策に貢献しようとかそういう理念的なところから入ってしまったので、そもそもお肉をさばく人として道具にもっと注目しなければならないと、そう思ったわけです。
 「包丁」というのは中国の料理の達人の名前が語源だそうで、お肉をさばくスピードがすごかったのでのちに料理用の刃物を包丁と呼ぶようになったということなんですが、そのぐらい料理(食べ物)には道具としての刃物が重要だという話なんです。
 そういうわけで包丁の研ぎ方の一例をご紹介します。

研いでいる写真
刃のついているほうが自分側です

 写真のように刃を自分の側に向け、角度をつけて滑らせます。砥石はいろんなタイプがあるので使い方をよく見て使用しますが、基本的には水でぬらすということが大事です。あと奥に向かって下り坂にして、刃の向きに対して巡目に滑らせたときに力が入るようセットします。(逆目の時は浮かせ気味に引くのがいいようです)
 研いでいるとだんだん刃の研いでいる面の逆側に反り返りの引っ掛かりを感じるので(時々手を止めて指の腹で触って確認します)、そうすればうまく研げてる証拠です。最後に逆側をさっとなでるように研いで、返りを取ったら仕上がりです。
 ※これは片刃の場合のやり方です。刃物の種類や人によっていろいろなやり方があると思いますので一例と思ってください!

研ぎ棒の写真
洋画とかでたまに見る研ぎ棒(シャープナー)

 ちょっと特殊な道具ですが、研ぎ棒というものがあります。
 棒の部分に刃物をあててシャッシャッと滑らせると切れ味が戻るという代物です。作業中に使う簡易の砥石みたいなイメージですが、実は研いでいるわけではなく、刃についた脂などを落として切れ味をよくするための道具ということらしいです。実際に切れ味は多少戻るので意味はあるのでしょう。
 刃の当て方が難しく、適当にやってると意味ないらしいので練習が必要です。

 切れ味のいい刃物は何より安全です。切れない刃物で頑張っていると余計な力が入りケガする元となります。また、切れる刃物のほうが段違いで作業スピードが早いです。何につけてもメンテナンスは大事だと思いますが、刃物においても同様だと感じました。
 弘法は筆を選ばず、と言いますがその意味するところはどんなものでもということではなくて道具の種類やグレードのことを指しているのであって、手入れだけは上手の人ほどしっかりやるものだと思っています。今使っている刃物は師匠のお下がりですが、ひとまず新品にこだわらず手入れをしながら大事に使っていきたいと思います。

煮沸消毒の様子
バケツと低温調理器で自作した煮沸消毒器

 ちなみにこちらは、既製品の組み合わせで自作した刃物の「煮沸消毒器」。単純な作りですが煮沸消毒に必要な83度のお湯をキープしてくれる優れものです。もちろん厨房器具や医療用器具で専用の製品はありますが、かなりお高いので自分で作ってみました。費用は約10分の1! 衛生面での性能は全く変わりません。こういうアイデア勝負のDIYするのも面白いですね。


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