○湧別町太陽光発電設備の適正な設置と地域との調和を推進する条例
令和6年3月7日
条例第3号
目次
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 太陽光発電設備の設置禁止区域等(第8条―第10条)
第3章 太陽光発電設備設置の手続等
第1節 事前相談、地域住民等への説明等(第11条―第13条)
第2節 事業者の届出等(第14条―第23条)
第4章 町の調査、指導、勧告、命令等(第24条―第28条)
第5章 命令の公表、国等への報告(第29条・第30条)
第6章 雑則(第31条)
第7章 罰則(第32条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、町内における太陽光発電設備の設置及び管理について、地域の安全の確保、生活環境及び自然環境の保全を図るために必要な事項を定めることにより、地域社会と太陽光発電設備との調和を推進し、将来のまちづくりに寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 本町の豊かな自然環境は、先人が守り育ててきた地域の貴重な宝であり、また現在の町並みは、開拓の鍬がおろされてからこの地域に暮らす人々などのたゆまぬ努力により築き上げた町民のかけがえのない財産である。このすべての町民の財産を守り未来に受け継ぐため、町、町民及び関係者は、町民が安心し安全に生活できる環境の保全を図らなければならない。
(1) 太陽光発電設備 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号。以下「法」という。)第2条第2項に規定する設備のうち、太陽光を電気に変換するための設備であって、太陽光パネルを架台等で地上等に設置し、自立するものをいう。
(2) 発電出力 太陽電池の合計出力とパワーコンディショナーの出力のいずれか小さい方の出力の値をいい、パワーコンディショナーを複数台設置している場合は、各系列における太陽電池の合計出力とパワーコンディショナーの出力のいずれか小さい方の出力を合計した値をいう。
(3) 発電事業 太陽光発電設備を用いて発電した電気を市場取引等により供給又は特定契約により電気事業者に対し供給する事業をいう。
(4) 事業者 法及び再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法施行規則(平成24年経済産業省令第46号。以下「省令」という。)に基づき、事業計画の認定の申請を行い、発電事業を行う者をいう。
(5) 実施区域 発電事業の用に供する一団の土地であって、柵塀等の工作物の設置その他の方法により当該土地以外の土地と区別された区域及び当該区域の緩衝帯として整備された区域をいう。
(6) 実施近隣区域 実施区域の境界線からの水平距離が100メートルの範囲内の区域をいう。
(7) 地域住民等 次に掲げる者をいう。
ア 実施近隣区域に居住する者
イ 実施近隣区域に土地若しくは建築物を所有する者又は使用する者
ウ 実施近隣区域内の自治会(地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条の2第1項に規定する地縁による団体)の会長
(8) 設備設置工事 太陽光発電設備の設置及び増設(これらの行為に伴う樹木の伐採及び土地の形状の変更等を含む。)をいう。
(9) 認定申請 法第9条第1項又は同法第10条第1項の規定に基づく経済産業大臣の認定申請をいう。
(対象設備)
第4条 本条例の対象とする設備は、町内に設置する太陽光発電設備のうち、発電出力が10キロワット以上のものとし、建築物の屋根、壁面又は屋上に設置するもの及び町内で事業を営む者が、主に自己消費を目的として事業所等に併設するものを除く。
(町の役割)
第5条 町は、この条例の適正かつ円滑な運用を図るよう必要な措置を講ずるものとする。
2 町は、町民、土地所有者及び事業者に対し、太陽光発電設備の適正な設置に関する広報及び啓発活動を行うものとする。
(町民及び土地所有者の役割)
第6条 町民及び土地所有者は、太陽光発電設備の設置が環境等に与える影響を理解し、本条例に基づく手続を行うほか、町の施策に協力するよう努めるものとする。
2 町民及び土地所有者は、事業者と協力し、太陽光発電設備の適正な設置に努めなければならない。
(事業者の役割)
第7条 事業者は、発電事業の実施に当たり、関係する法令、条例等を遵守し、安全確保、生活環境並びに自然環境の保全及び災害発生の防止のために必要な措置を講じなければならない。
2 事業者は、発電事業の実施に当たり、地域住民等との良好な関係を築き、地域との調和を保たなければならない。
第2章 太陽光発電設備の設置禁止区域等
(禁止区域)
第8条 何人も、次に掲げる区域(以下「禁止区域」という。)においては、太陽光発電設備の設置をしてはならない。ただし、あらかじめ町長の許可を受けた場合は、この限りでない。
(1) 砂防法(明治30年法律第29号)第2条の規定により指定された砂防指定地
(2) 森林法(昭和26年法律第249号)第25条第1項の保安林の区域
(3) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第7条第1項の土砂災害警戒区域及び同法第9条第1項の土砂災害特別警戒区域
(4) 前各号に掲げるもののほか、町長が特に太陽光発電設備の設置をすべきではないと判断した区域
(要協定区域)
第9条 事業者は、太陽光発電設備の設置に当たり特に配慮が必要な次に掲げる区域(以下「要協定区域」という。)において、太陽光発電設備の設置を行おうとするときは、町長と当該設備の適正な設置及び管理に関する協定を締結しなければならない。
(1) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第93条の周知の埋蔵文化財包蔵地の区域
(2) 森林法第5条第1項に規定する地域森林計画の対象となっている森林のうち、前条第1項第2号の区域を除く区域
(3) 農地法(昭和27年法律第229号)第5条第2項第1号イに規定する農用地区域内の農地及び採草放牧地の区域(省令第5条第1項第9号の2に規定する特定営農型太陽光発電設備を設置する場合を除く。)
(4) 自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第3号の国定公園の区域
(5) 河川法(昭和39年法律第167号)第6条の河川区域及び同法第54条第1項の河川保全区域
(6) 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)第28条第1項の鳥獣保護区の区域
(7) 主要道路に接し住宅が密集している区域のうち規則で定める区域
(8) 前各号に掲げるもののほか、町長が特に配慮が必要と認めた区域
(要協定設備)
第10条 事業者は、景観法(平成16年法律第110号)第16条第1項第2号の規定による届出が必要な太陽光発電設備(以下「要協定設備」という。)の設置を行おうとするときは、町長と当該設備の適正な設置及び管理に関する協定を締結しなければならない。
第3章 太陽光発電設備設置の手続等
第1節 事前相談、地域住民等への説明等
(事前相談)
第11条 事業者は、設備設置工事を行おうとする場合又は発電事業に関する計画を変更しようとする場合には、認定申請を行う前であって、太陽光発電設備の設置及び発電事業に関する計画(以下「事業計画」という。)についての地域住民等に対する説明会及び事前周知を行う前に、設備設置工事の箇所及び説明会の開催等について町長に相談し、その内容について協議しなければならない。
2 町長は、前項の規定による相談があったときは、事業者に対し必要な回答を行うものとする。
(地域住民等への説明)
第12条 事業者は、要協定区域に太陽光発電設備を設置する場合又は町内に要協定設備を設置する場合には、認定申請を行う前に地域住民等に対して当該事業計画についての説明会を開催し、その結果を町長に報告しなければならない。ただし、町長が説明会を開催することが困難であると特に認めるときは、この限りでない。
2 事業者は、実施近隣区域内の自治会の会長が認めるときは、戸別訪問その他適当な方法をもって地域住民等に事業計画を周知することにより、前項に規定する説明会の開催に代えることができる。
(地域住民等への周知)
第13条 前条の規定による説明会の開催又は周知が必要とならない設備設置工事又は発電事業に関する計画の変更にあっては、第3条第1項第7号のア及びウの地域住民等に対して事業計画の周知を行い、その内容を町長に報告しなければならない。
2 事業者は、前項の事業計画の周知を行った日から2週間以上の期間にわたり、地域住民等からの当該事業計画に対する質問及び意見等を受け付け、質問又は意見等があったときは、回答又は協議を行い、その内容及び対応の結果について町長に報告しなければならない。
第2節 事業者の届出等
(事業計画の届出)
第14条 事業者は、認定申請を行った日から30日以内に、事業計画を町長に届け出なければならない。
(計画標識の設置)
第15条 事業者は、前条の届出が受理されてから30日以内に、太陽光発電設備を設置しようとする土地の道路等に面した見えやすい場所に事業計画等の内容を記した標識を設置し、設備設置工事に着手する日までの間、掲示していなければならない。
2 事業者は、前項の規定により標識を設置したときは、町長に届け出なければならない。
3 事業者は、第1項の標識の設置後において計画の内容に変更が生じたときは、速やかに変更した内容を記した標識を設置し、町長に届け出なければならない。
(認定の報告)
第16条 事業者は、法第9条第4項の規定による経済産業大臣の認定を受けたことを証する認定通知書が発行された日から14日以内に町長にその結果を報告しなければならない。
(工事着手の届出)
第18条 事業者は、設備設置工事に着手しようとするときは、当該工事に着手しようとする日の60日前までに町長に届け出なければならない。
(事業標識の設置)
第19条 事業者は、設備設置工事の着手後速やかに、発電事業の実施区域の道路等に面した見えやすい場所に発電事業の内容を記した標識を設置し、発電事業が完了又は廃止するまで掲示していなければならない。
2 事業者は、前項の標識の設置後において発電事業の内容に変更が生じたときは、速やかに変更した内容を記した標識を設置しなければならない。
(工事完了の届出)
第20条 事業者は、設備設置工事が完了したときは、当該工事が完了した日から20日以内に町長に届け出なければならない。
(設備等変更の届出)
第21条 事業者は、太陽光発電設備等の変更をしようとするときは、変更の日の30日前までに町長に届け出なければならない。ただし、事業計画の軽微な変更をしようとするときを除く。
2 特別な事情により、前項に規定する期日の翌日以降に事業計画の変更が必要であると判明したときは、変更が必要であると判明した日から10日以内に町長に届け出なければならない。
(事業廃止等の届出)
第22条 事業者は、発電事業を完了し又は廃止したときは、完了した日又は廃止した日から起算して14日以内に町長に届け出なければならない。
2 事業者は、発電事業の完了又は廃止により太陽光発電設備の稼働を停止したときは、速やかに太陽光発電設備の撤去及び撤去に伴い発生した廃棄物の処理等の措置を適正に行うとともに、当該措置が完了した日から起算して14日以内に町長に届け出なければならない。
3 事業者は、太陽光発電設備を撤去したときは、必要に応じて、設置した区域を設置前の原状に回復しなければならない。
(地位の承継)
第23条 事業者の地位を承継した者は、承継した日から起算して14日以内に町長に届け出なければならない。
第4章 町の調査、指導、勧告、命令等
(報告徴収)
第24条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、事業者に対し、報告又は資料の提出を求めることができる。
(立入調査)
第25条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、事業者の事務所若しくは事業所又は発電事業の実施区域に立ち入り、発電事業の状況若しくは施設、帳簿、書類その他必要な物件を調査し、又は関係人に質問することができる。
(指導又は助言)
第26条 町長は、事業者に対し、太陽光発電設備の設置及び発電事業の適正な実施のために必要な指導又は助言を行うことができる。
(勧告)
第27条 町長は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、相当の期間を定めて必要な措置を講じるよう勧告することができる。
(3) 第23条の規定による届出を怠った者又は虚偽の届出を行った者
(4) 第24条の規定による報告若しくは資料の提出を正当な理由なく拒み、又は虚偽の報告をし、若しくは資料の提出をした者
(5) 第25条の規定による立入調査を正当な理由なく拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して回答を拒み、若しくは虚偽の回答をした者
(6) 第7条第1項に規定する措置を講じていない者
第5章 命令の公表、国等への報告
(公表)
第29条 町長は、前条に規定する命令をしたときは、命令を受けた者の氏名又は名称及び住所又は所在地並びに命令の内容を公表することができる。
2 町長は、前項の規定による公表をしようとするときは、公表の対象となる者に対し弁明の機会を与えなければならない。
(国及び道への報告)
第30条 町長は、前条の規定による公表を行ったときは、当該公表の内容及び公表の事実を国及び北海道に報告するものとする。
第6章 雑則
(委任)
第31条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
第7章 罰則
(罰則)
第32条 正当な理由なく第28条の規定による命令に従わない者は、5万円以下の過料に処する。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和6年7月1日から施行する。
3 第16条の規定は、この条例の施行の日前に法第9条第4項の規定による経済産業大臣の認定を受けた者には適用しない。