○介護保険施設等指導監査要綱
平成24年3月23日
訓令第3号
(目的)
第1条 この要綱は、指定居宅サービス事業者、介護保険施設及び指定介護予防サービス事業者(以下「介護保険施設等」という。なお、介護保険施設等のうち保険医療機関の病院、診療所の行う居宅療養管理指導、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、短期入所療養介護の指定居宅サービス事業者及び介護予防居宅療養管理指導、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防通所リハビリテーション、介護予防短期入所療養介護の指定介護予防サービス事業者並びに保険薬局の行う居宅療養管理指導の指定居宅サービス事業者及び介護予防居宅療養管理指導の指定介護予防サービス事業者は以下「特定事業者」という。)に対して行う介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第23条に基づく指導と、法第76条、第90条、第100条及び第115条の7の規定に基づく監査に関する基本的事項を定めることにより、その介護保険施設等の介護給付等対象サービスの質の確保と向上及び保険給付の適正化を図ることを目的とする。
(指導方針)
第2条 指導は、介護保険施設等に対し各種指導形態によって、利用者の自立支援及び尊厳の保持を念頭において、介護保険施設等の支援を基本とし、介護給付等対象サービスの取扱いや、介護報酬の請求等に関する事項について周知徹底させることを方針とする。
(指導形態)
第3条 指導形態は、次の各号に掲げるものとする。
(1) 集団指導 介護保険施設等に対し、介護給付費等対象サービスの取扱い、介護報酬請求の内容、制度改正内容及び高齢者虐待事案をはじめとした過去の指導事例等に基づく指導の内容について、一定の場所に集めて講習等の方法により実施する。なお、地域の実情に応じてオンライン等(オンライン会議システム、ホームページ等。以下同じ。)の活用による動画配信等による実施も可能とする。
ア 介護サービスの実施状況指導 個別サービスの質(施設・設備や利用者等に対するサービスの提供状況を含む)に関する指導
イ 最低基準等運営体制指導 基準等に規定する運営体制に関する指導(ウに関するものを除く)
ウ 報酬請求指導 加算等の介護報酬請求の適正実施に関する指導
(指導実施サービス事業)
第4条 指導実施サービス事業は、次の各号に掲げるものとする。
(1) 指定訪問介護
(2) 指定訪問入浴介護
(3) 指定訪問看護
(4) 指定訪問リハビリテーション
(5) 指定居宅療養管理指導
(6) 指定通所介護
(7) 指定通所リハビリテーション
(8) 指定短期入所生活介護
(9) 指定短期入所療養介護
(10) 指定特定施設入居者生活介護
(11) 指定福祉用具貸与
(12) 指定特定福祉用具販売
(13) 指定介護老人福祉施設
(14) 介護老人保健施設
(15) 指定介護予防訪問入浴介護
(16) 指定介護予防訪問看護
(17) 指定介護予防訪問リハビリテーション
(18) 指定介護予防居宅療養管理指導
(19) 指定介護予防通所リハビリテーション
(20) 指定介護予防短期入所生活介護
(21) 指定介護予防短期入所療養介護
(22) 指定介護予防特定施設入居者生活介護
(23) 指定介護予防福祉用具貸与
(24) 指定介護予防特定福祉用具販売
(指導対象の選定)
第5条 効率的な指導を行う観点から、その選定については、一定の方針に基づいて実施する。
(1) 集団指導の対象 原則すべての介護保険施設等を対象とする。
(2) 運営指導の対象 一般指導は次の基準を標準とし、毎年度計画を策定し、実施する。また、合同指導は、一般指導の対象とした介護保険施設等の中から選定する。
ア 新たに介護給付等対象サービスを開始し、又は、入所定員を増加した介護保険施設等
イ 指導重点事項に該当する介護保険施設等
ウ その他運営指導が必要と認める介護保険施設等
(3) 特定事業者の指導 特定事業者の指導については、前2号の規定によらず、必要に応じて実施する。
(4) 北海道との連携 北海道との連携を図り、必要な情報交換を行うことで、適切な集団指導及び運営指導の実施に努めるものとする。また、法第24条に基づき北海道が介護保険施設等に対し文書等の提出等を行わせた結果、特に問題が認められなかった介護保険施設等に対しては、当該年度における運営指導を省略することができる。
(指導方法等)
第6条 指導方法等は、次の各号に掲げる方法により行う。
(1) 集団指導
ア 実施通知 集団指導の実施を決定したときは、当該介護保険施設等に対して日時、場所、出席者、指導内容等を文書により通知する。
イ 指導方法 実施に当たっては、介護保険施設等に対して指導内容の理解を深めるため質問や個別相談等の機会を設ける等、工夫する。また、実施に当たって、北海道との整合を図るため、事前に情報提供を行う等の連携を図ること。なお、集団指導に欠席した介護保険施設等に対しては、当日使用した書類を配付するなど必要な情報提供に努めるとともに、オンライン等の活用による動画配信等による場合は、配信動画の視聴や資料の閲覧状況について確認する。
(2) 運営指導
ア 実施通知 指導対象となる介護保険施設等を決定したときは、当該介護保険施設等に対して、あらかじめ次に掲げる事項を文書により通知する。ただし、指導対象となる介護保険施設等において高齢者虐待が疑われる等の理由により、あらかじめ通知したのでは当該介護保険施設等の日常におけるサービスの提供状況を確認することができないと認められる場合は、指導開始時に次に掲げる事項を文書により通知する。
(ア) 運営指導の根拠規定及び目的
(イ) 運営指導の日時及び場所
(ウ) 運営指導担当者
(エ) 介護保険施設等の出席者(役職名等で可)
(オ) 準備すべき書類等
(カ) 当日の進め方、流れ等(実施する運営指導の形態、スケジュール等)
イ 出席者 運営指導に当たっては、指導対象となる介護保険施設等の管理者の出席を求めるほか、必要に応じて介護給付費等対象サービスの担当者、介護報酬請求担当者等の関係職員の出席を求める。
ウ 指導方法 運営指導は、関係書類を確認し、管理者及び関係職員からの面談方式により実施する。なお、施設・設備や利用者等のサービス利用状況以外の実地でなくても確認できる内容(最低基準等運営体制指導及び報酬請求指導に限る。)の確認については、情報セキュリティの確保を前提としてオンライン等を活用することができる。活用に当たっては、介護保険施設等の過度な負担とならないよう十分に配慮する。
エ 指導体制 2名以上の班を編成し、原則として、班長は主査職以上の職員が担当する。
オ 指導結果の通知 運営指導の結果については、後日、文書によって通知する。
カ 改善状況報告書の提出 文書で指導した事項については、改善状況報告書の提出を求める。
キ 監査への変更 運営指導を実施中に以下に該当する状況を確認した場合は、運営指導を中止し、直ちに監査を行い事実関係の調査及び確認を行うものとする。
① 介護給付等対象サービスの事業の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準に従っていない状況が著しいと認められる場合又はその疑いがあると認められる場合
② 介護報酬請求について、不正を行っていると認められる場合又はその疑いがあると認められる場合
③ 不正の手段による指定等を受けていると認められる場合又はその疑いがあると認められる場合
④ 高齢者虐待等により、利用者等の生命又は身体の安全に危害を及ぼしていると認められる場合又はその疑いがあると認められる場合
(自主点検に伴う返還)
第7条 運営指導において介護給付等対象サービスの内容又は介護給付費の算定及び請求に関し過誤が認められたときは、当該事業者に対し、指摘事項に係る自主点検を指示する。
(監査の方針)
第8条 法第77条、第92条及び第115条の9の規定に基づく指定の取消し又は効力の停止、法第76条の2、第91条の2、第103条及び第115条の8の規定に基づく勧告・命令等、法第101条の規定に基づく設備の使用制限等、法第102条の規定に基づく変更命令並びに法第104条に規定する行政上の措置(以下「行政処分等」という。)に該当する内容であると認められる場合若しくはその疑いがあると認められる場合、又は介護報酬の請求について、不正を行っていると認められる場合若しくはその疑いがあると認められる場合、又は不正の手段により指定等を受けていると認められる場合若しくはその疑いがあると認められる場合(以下「指定基準違反等」という。)、又は介護給付等対象サービスの利用者又は入所者若しくは入居者(以下「利用者等」という。)について高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号)(以下「高齢者虐待防止法」という。)に基づき町が虐待の認定を行った場合若しくは高齢者虐待等により利用者等の生命又は身体の安全に危害を及ぼしている疑いがあると認められる場合(以下「人格尊重義務違反」という。)において、当該介護保険施設等に対し報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、出頭を求め、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくは当該介護保険施設等に立ち入り、その設備若しくは帳簿書類その他の物件の検査(以下「立入検査等」という。)を行い、事実関係を的確に把握し、公正かつ適切な措置を採ることを主眼とする。
(監査の選定基準)
第9条 監査は、次により実施する。
(1) 次の情報を踏まえて、指定基準違反等又は人格尊重義務違反の確認について必要があると認める場合に立入検査等により行う。
ア 通報・苦情・相談等に基づく情報
イ 町が、高齢者虐待防止法に基づき虐待を認定した場合又は高齢者虐待等により利用者等の生命又は身体の安全に危害を及ぼしている疑いがあると認められる情報
ウ 北海道国民健康保険団体連合会(以下「連合会」という。)、地域包括支援センターへ寄せられる苦情
エ 連合会及び保険者等からの通報情報
オ 介護給付費適正化システムの分析から特異傾向を示す介護保険施設等
カ 法第115条の35第4項の規定に該当する報告の拒否に関する情報等
キ 運営指導における情報
(2) その他、必要があると認められる場合に監査を実施する。
(監査実施通知)
第10条 監査の対象となる介護保険施設等を決定したときは、次に掲げる事項を文書により、監査開始時に通知する。なお、法第23条により、運営指導を実施中に監査に移行した場合は、口頭により当該事項を含め監査を実施する旨通告する。
(1) 監査の根拠規定
(2) 監査の日時及び場所
(3) 監査担当者
(4) 監査対象介護保険施設等の出席者(役職名等で可)
(5) 必要な書類等
(6) 虚偽の報告又は答弁、検査忌避等に関する罰則規定
(情報提供等)
第11条 監査の実施に当たっては、必要に応じて、北海道等の関係する機関に情報提供を行うとともに、同時に監査を実施する等の連携を図るものとする。
(出席者)
第12条 監査に当たっては、監査対象となる介護保険施設等の開設者(又はこれに代わる者)及び管理者(管理者であった者を含む)の出席を求めるほか、必要に応じて介護給付費等対象サービスの担当者、介護給付費請求担当者等の関係職員(従業者であった者を含む)の出席を求める。
(監査体制)
第13条 2名以上の班を編成し、原則として、班長は管理職以上の職員が担当する。
(行政上の措置)
第14条 指定基準違反等又は人格尊重義務違反が認められた場合には、法第5章に掲げる「勧告・命令等」、「指定の取消し等」、「設備の使用制限等」、「変更命令」、「業務運営の勧告、命令等」、「許可の取消し等」の規定に基づき行政上の措置をとるものとする。
(2) 命令 介護保険施設等が正当な理由がなくその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該介護保険施設等に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命令することができるほか、命令をした場合には、その旨を公示しなければならない。なお、命令したときは介護保険施設等から、期限内に文書により行った措置について報告を求める。
(3) 指定の取消し等 指定基準違反等又は人格尊重義務違反の内容等が、法第77条第1項各号、第92条第1項各号、第104条第1項各号及び第115条の9第1項各号のいずれかに該当する場合においては、当該介護保険施設等に係る指定・許可を取り消し、又は期間を定めてその指定・許可の全部若しくは一部の効力の停止をすること(以下「指定の取消等」という。)ができる。なお、指定の取消等をした場合には、その旨を公示する。
(4) 設備の使用制限等 法第101条の規定により、介護老人保健施設が療養室等の設備や条例で定める施設を有しなくなったとき、又は設備及び運営に関する基準に適合しなくなったときは、当該施設の開設者に対し、期間を定めて、その全部若しくは一部の使用を制限し、若しくは禁止し、又は期限を定めて、修繕若しくは改築を命ずることができる。
(5) 変更命令 法第102条の規定により、介護老人保健施設に係る施設の管理者が当該施設の管理者として不適当であると認めるときは、当該施設の開設者に対し、期限を定めて、当該施設の管理者の変更を命ずることができる。
(6) 業務運営の勧告、命令等 法第103条の規定により、介護老人保健施設において基準違反の事実が確認された場合、当該施設の開設者に対し、期限を定めて、文書により基準を遵守すべきことを勧告することができるほか、これに従わなかったときは、その旨を公表することができる。また、正当な理由がなくその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該施設の開設者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命令することができる。また、命令をした場合には、その旨を公示しなければならない。なお、勧告又は命令をした場合は、当該施設の開設者に対し期限内に文書によりとった措置について報告を求める。
(7) 許可の取消し等 法第104条の規定により、介護老人保健施設における指定基準違反等又は人格尊重義務違反の内容等が、同条第1項各号のいずれかに該当する場合においては、当該施設に係る許可を取り消し、又は期間を定めてその許可の全部若しくは一部の効力の停止(以下「許可の取消等」という。)をすることができる。
(監査結果の通知等)
第15条 監査結果の通知等については、次の各号に掲げる方法により行う。
(2) 監査結果の通知等により、改善を要すると認められた事項については、改善報告が提出されてからおおむね3箇月以内に運営指導を実施し、改善状況を確認する。
(聴聞等)
第16条 監査の結果、当該介護保険施設等が命令又は指定の取消等若しくは許可の取消等の処分(以下「取消処分等」という。)に該当すると認められる場合は、監査後、取消処分等の予定者に対して、行政手続法(平成5年法律第88号)第13条第1項各号の規定に基づき聴聞又は弁明の機会を付与する。ただし、同条第2項各号のいずれかに該当するときは、これらの規定は、適用しない。
(行政上の措置の通知)
第17条 行政上の措置の通知については、次の各号に掲げる方法により行う。
(1) 勧告を行ったとき 行政指導の中止等の求めに関する事項について文書により通知する。
(2) 取消処分等を行ったとき 当該介護保険施設等に対し措置の種類、根拠規定、その原因となる事実、不服申立に関する事項等について文書により通知する。
(3) 前2号に至らないと認められるとき 運営指導に準じた指導を行う。
(行政上の措置の公示等)
第18条 監査の結果、取消処分等を行ったときは、法第76条の2、第78条、第91条の2、第93条、第103条、第104条の2、第115条の8及び第115条の10の規定に基づき、速やかにその旨を公示するとともに、北海道及び連合会に対し連絡する。
(経済上の措置)
第19条 経済上の措置については、次の各号に掲げる方法により行う。
(1) 不正利得となる返還金の徴収の要請 監査の結果、取消処分等(命令を除く。)を行った場合に、当該介護保険施設等が法第22条第3項に規定する偽りその他不正の行為により介護報酬の支払いを受けている場合には、その支払った額につきその返還させるべき額を不正利得とし、当該不正利得の徴収等を行う。また、当該支払に関係する保険者に対し、当該不正利得の徴収を行うよう要請するものとする。
(2) 返還金の徴収方法 前号の不正利得については、原則として、法第22条第3項の規定により当該返還させるべき額に100分の40を乗じて得た額を併せて徴収するものとする。
(介護保険施設等からの現況報告)
第20条 当該年度の4月1日時点において、指定又は許可を受けている介護保険施設等から、別に定める「介護保険施設等現況報告書」を毎年4月15日までに提出させる。なお、特定事業者については、必要に応じて提出させる。
(関係機関との連携)
第21条 監査にあたっては、関係機関と連携を図り、合同で監査を実施するなど効率的に行うものとする。
(1) 他法の規定に基づく検査等との連携
医療法(昭和23年法律第205号)に基づく立入検査等、他法に規定する検査等を所管する関係機関と連携を図り、合同で運営指導等を実施するなど効率的に行う。
(2) 北海道との連携
必要に応じて、北海道と連携を図り、合同で運営指導等を実施するなど効率的に行う。
(その他)
第22条 指導及び監査に関し、その他必要な事項は別に定める。
附則
この要綱は、平成24年4月1日から施行する。
附則(平成27年3月23日訓令第2号)
この要綱は、平成27年4月1日から施行する。
附則(平成28年9月12日訓令第11号)
この要綱は、公布の日から施行する。
附則(平成30年3月22日訓令第1号)
この要綱は、平成30年4月1日から施行する。
附則(平成30年12月20日訓令第11号)
この要綱は、公布の日から施行する。
附則(平成31年3月20日訓令第1号)
この訓令は、平成31年4月1日から施行する。
附則(令和6年3月29日訓令第8号)
この要綱は、令和6年4月1日から施行する。